住まいの熱のやりとり
「住まいは夏を旨とすべし」高温多湿のわが日本では、すかすかの風通しのよい住まいを
好んできました。そのかわり、冬はさぞ寒かったことでしょう。温暖化する前ですから。
日本の家づくりが、高気密高断熱に向かい始めたのは、ここ二十年のこと。
やはり例の「失われた十年」ぐらいから始まったお話です。
屋根の下地となる、構造用合板の継ぎ目に、気密テープを張ってその上に断熱材。
屋根の大きい、本来の日本の家は、この下に大きな屋根裏の空間が控えていたので
昔はそれほど問題は無かったのですが、昨今のように屋根裏がロフトや吹き抜けとして
内部空間として、部屋になると、いかに熱を逃がすか。が問われるようになりました。
ご存知のように、都市部のアスファルト上の街は、耐えられない暑さになっています。
そのなかで、どう熱のやりとりを考えるか、目に見えない空気が運ぶ熱の行き来を
「見える」かのようにデザインするのも、設計屋の仕事です。
写真のように、建物の外側を断熱材でくるむ「外断熱」その利点は熱を外側で継ぎ目
無く遮断出来て、室内の温度を安定させてくれることです。
欠点は、やはり手間がかかること。今のような社会状況では、出来る限りコストをかけず
安価に建てたいのが人情というもの。人様の安全と大事なお金を、家という「財産」の形に
置き換えるのが、設計という実務の「サービス業」の役割です。ので、われわれが
自分を苛めて、日々考えて闘う以外に方法はありません。
私たちの考える住まいは、一軒一軒違って、そこに住まう方々の「人となり」を
表したかたちをしています。ハウスメーカーやデベロッパーマンションのように、
「経済」という枠組みの中で、不特定多数、最大公約数の数の論理だけで
かたち作られる訳ではないので、予算とのせめぎあいの中、人の「想い」をどこまで
かたちに出来るか、が日々問われているのです。
結局、設計の修身論になってしまいますが、そんな設計屋には「職人さん」という
強い、まことに手強くも、心強い味方がいるのでした。
本当に仕事の出来る職人さんは、無駄口をたたかず、設計屋の無理も黙って聞き、
手と体とアタマを使って、かたちにしてくれます。
写真の大工さんはそのひとり。世代も同じで、冗談が通じ、腕が確かで誠実。
そんな優れた職人さんに、渡す図面は、それこそ「手抜き」が出来ません。
「いい加減」な図面は、すぐに見破られてしまいます。
今、見積もってもらっている二軒は、またこの大工さんにお願いする「予約」を
申し入れていて、クライアントもぜひ、とのことでした。
住まいの断熱という、熱のやりとりの話は、いつの間にか、職人さんとのやりとりの話
になりましたが、日本の木の家は、大工さんに支えられている。というお話なのでした。
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