伝わる、不思議
建築設計の仕事は、設計者が「こうしたい」という意志を持って進めるものです。
その元になるのは、依頼主から伝えられた要望なのですが、全てが言葉になる訳では
ありません。むしろ、言葉に出来ない、ならない理想や暮らし方の好みが隠れています。
特に、個人の住まいづくりは、いまだ本人たちが気付いていない、潜在的なものを
こちらが探したり、想像したりして提示すること。それが、求められると思います。
相手のことをよく見て、話される言葉のニュアンスをよく聴いていると、
隠れているものの糸口が、ふとしたきっかけで伝わることがあります。
こちらが、丁寧にわかりやすく伝えることを続けていれば、そのことは伝わって、
伝わる言葉が返ってきます。その「伝わる」のなかには、言外に含まれている何かがある。
人は、「美しい」という言葉の意味を、言葉以前に知っている。という池田晶子さんの
正しい言葉が在ります。その、すでに知っているという不思議と、伝わるという不思議、
どこかきっと同じくして在るのでしょう。
今日も、ちゃんと伝えなきゃ。
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