ふたたび暑さが戻ってきて遠くのタイフーンが気になる七月のおわりに。
南風が低くたれこめた靄を流していく、静かな朝です。
役所の設計審査を無事やり終えて、しばし小休止。こまごまとした雑用の山は
ひとまず脇へと置いといて、今日はお施餓鬼に出かけます。
今日、シアワセと思えるのは、昨日の自分が形作ったもの。むかしむかしの先達の
おかげで、今の繁栄がある。日本の夏は鎮魂の意味が問われる季節です。
ここぞ、という時のチカラは、普段の無駄なチカラの抜け具合によりますね。
肩肘張ることを要求する、まっとうでない世の中も、人のせいにせず、静かに生きる。
ご先祖様に顔向けが、なんて古い考えもここ鎌倉ではしごくまっとうであります。
いつもココロに桃源郷。天上の楽園にはきっとたくさん開いていましょう。
小暑七夕を待ちながら、久しぶりのお天気の日曜日。こういう日はゆったりと気休め。
気の持ちようで、時間はゆっくり流れてくれるから。空気はからりココロはひらりの日。
いつもと違う、すこし材木座よりのトンネルから浜辺へでただけで眺めが新鮮。
武道が居つくことを嫌うように、自分の所在も自由でありたいもんです。
日本の建築が、木を透かして創られたのは、湿度の高い風土に合わせ、モノ同士が
癒着しないように工夫されたから。べたっとくっつかないような工夫は、ひとえに長持ちに
つながるからに他ならない。昔の人の知恵から学ぶことは多い。
ついつい休日なのに、仕事のことを思い浮かべてしまうのも、まぁいっか。
キャタピラの轍が河口へと続く、気休めの日曜日なり。
今朝の風見クジラは南西向き。台風がそれるように、見守ってちゃぶ台。おそまつ。
六月の浜辺は、靄と赤潮で始まります。今朝の材木座は、スティーブン・キングの小説の
ような雰囲気が文字通り立ち込める、そんな日曜日です。
先日出かけた日比谷での養老孟司先生と内田樹先生の身体性対談。
お二人の出版に合わせて語られた「身体」。中世の時代の身体しかなかったことから
なにも残らない諸行無常の話。言葉にならない、生身の身体の言語?感覚とでも
ゆうような、おもしろい話が広がって楽しい時間を過ごします。
いっそ中世の時代のようにこれからをしてしまえ、なんていい発想ですね。
なにもない鎌倉が世界遺産になるはずがない、というところから始まった身体性理論?
お二人それぞれの、二冊の著作を読みながら対談を振り返るのも楽しみです。
これからは仕事のペースが上がって、やること山を登る季節がやって来ます。
こういう日には、言葉少な、ひとこと、少な目で過ごすとします。よい、休日を。
それはそれは天晴れな、皐月晴れの空と心地よい風の中へ。最高の休日の始まり。
京都の旅から一週間。新鮮な感覚が残るのと、どこか夢のような時間である感覚が
ないまぜになって面白くもあります。正統な旅の余韻というのはこのように感じられるもの。
吉日の境内は白無垢の輝きがあって、木々の間を吹き抜ける皐月の風が薫る。
どこまでも歩いていけそうな、そんな元気に満たされる時間を感じる朝。
建築家、吉村順三さんの目録の中に、「気持ちを養う」という言葉があります。
日本の良さを建築に表すために、日本の気持ちから出たもので勝負する。
そのためには、気持ちを「養う」ことが根本である。
旅というのも、気持ちを養うには大切な時間を与えてくれますね。
その場所に佇み、時が育んだ風景を五感で感じて、吸収する。
呼吸を繰り返すように、時の流れを身に沁みていく感覚。
時に荒んでしまう気持ちも、旅に出ることで浄化されていくから、気持ちを養う余裕も
そこから生まれてきます。いい建築のスペースを生み出すには、気持ちにもスペースを。
気持ちを養う。素養といういい言葉と一緒に、旅の余韻の中を過ごす休日。よい日を。
GWの後半、今朝の鎌倉はとてもとても靄っていて、稲村ケ崎がなんも見えねぇーです。
ホリデイサーファーの列も遠く霞んで、どこか違う国のようでもあります。
尊敬する建築家のひとり、増沢洵さんの作品集。いつもGWには読み返しています。
以前、建築雑誌に連載されていた「建築小思」というエッセイの素晴らしさ。
ご自身が創りだされた建築の数々と同じように、控えめに、でも力強く一本の筋が通って
ぴんとしている美しい文章があります。
一年の計、五月ともなれば元旦になにを思ったか、とうに忘れていると思いますが、
増沢さんのエッセイには「一年の計は五月に」とあります。
五月には連休もあるし、季節もよく、ココロと身体がバランスよく、一年の計を立てるには
ぴったりである。と書かれています。思い立ったが吉日ということもある。
優れた建築家は言葉と建築が同じように語られています。すこしでも、近づけますように。
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