旅たびの旅

真夏の一ページ

 とても久しぶりに、城ケ島までドライブ。お盆休みにクルマで出るのも久しぶり。

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 この上ない夏空が広がる。吹き抜ける海風が、とても心地良い夏の日。
思い立ったが吉日のたとえ通り。ココロにも風穴が開いて、深呼吸をする。
 
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 海風に乗ってトンビが気持ち良さそうにホバリング。
眺めているだけで、こっちも空に浮かぶような気持ちになる。
 
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 休み明け、またせわしない日常に戻るが、ただ流されずに、けれども「行雲流水」。
足元を確かめ、日々是丁寧に過ごそう。
 
 行き帰りのBGMは、勿論「村田和人」さん。永遠に、エバーグリーン。
聴きながら、30年前の、真夏のアルバイトを思い出す、今年の一ページ。
少年のココロに、夏は永遠。
 
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ひと心地

 とてもとても久しぶりに、ありがたい連休です。

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 季節は深まる秋。今日はこれから仙台へ。旧友たちとの再会です。

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 ほっと一息ついて、のひと心地。よい旅に。いい秋の日に。

雨読と旅の日

 夜半から降り続く雨は今朝も降り続き、迷犬と濡れ鼠の朝散歩となり帰宅。

こんな日は自主的開店休業。晴耕雨読そのまま、旅の思ひ出整理にお付き合い下さい。

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 八坂神社を出て、すこし市バスに乗ってショートカット。降り立ったのは、京都の東側。

琵琶湖疏水分流沿いの「哲学の道」を、ゆったりと歩く。川のせせらぎと時の流れが、

小鳥たちのさえずりを交えてシンクロするような、そんな風景が続きます。

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 思索するのにこの上なく相応しい、川沿いの小道をたどって東山慈照寺に着く。

定番の修学旅行生に混じって、ひとり修学生。 観音殿、通称「銀閣」の佇まいをゆっくりと。

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 一層の書院、縁台から、いつかお月見がしてみたいものです。

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 銀沙灘(ぎんしゃだん)と向月台(こうげつだい)の向こうに建つ観音殿は普遍にある。

時の流れの中で、凛として潔い佇まい。己の姿も、かくありたいです。

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 境内を巡りながら、古の時代の風景に思いを馳せることで、今をよりよく感じること。

そんな効き目が、いい場所には備わっています。守り育んできた幾多の人々の手を経て、

この風景を感じることが出来る。日本の良さはこういうところにもありますね。

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 古建築は静かにただそこに佇んで在る。けれども豊かに感じられる言葉がある。

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 春の桜、秋の紅葉。皐月の新緑を愛でて、思いを馳せる旅。また次の旅へ。

路地の風景

 皐月晴れが戻って気持のよい、清々しい朝の鎌倉です。よい週末の予感に満ちて。

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 今回の旅は風景をゆっくりと巡ることが出来ます。歳を重ねた分そうならなくちゃ可笑しい

かも。落ち着きを取り戻した感覚を失わないようにしたいものです。

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 清水の賑わいを、反対側の子安の塔から静かに眺めて、坂を下りて路地を曲がる一日。

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 ほどよい空間の大きさに囲まれて、時がスローペースになります。

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 ふと足元をみると、ゴミだしのポリバケツさえ、竹籠に入れられて目立たぬようになって

こういう細やかな感性が、古い街並みを支えているのですね。

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 お店の入口のガラス戸、摺り模様が影絵となって映り込むのも風情。

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 ゆっくりと歩きながら、目にする路地の風景。一コマずつ「絵」になる京都です。

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 こう書いていると、また行きたくなってきます。よい旅をたびたびに。

時の流れに

 神戸での打ち合わせを終えて、急ぎ足で京都へ。夕暮の閉門前に無事到着した、

蓮華王院三十三間堂。訪れるのは中学の修学旅行以来、ほぼ四十年?

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 しずしずと、お堂のなかへ。国宝観音二十八部衆像と対面をする。

目を合わせると「よく来たな」という、お声が聴こえたようです。

うるうるとしながら、一体ごとに目を合わせ、境内へ。

 時の流れを受け流し、佇む日本の建築の凛々しさ。

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 深い庇に守られながら、グレーの縁から、鮮やかな東大門の朱色を愛でる。

悠久の時、その流れの一点で時が止まったように至福のひとときを過ごす。

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 版築の土台の上に築かれた御堂の、繰り返されるリズムは永遠に新しい。

光りと影が織りなす、コントラストの深みは、古建築にしか醸し出せません。

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 時に抗いながら、凛と建つ姿に勇気づけられながら佇む、幸せなひとときです。

大阪の、色やね

 横浜から夜行バスにて一路大阪へ。早朝到着してまずは腹ごしらえ。朝ごはんも含めて

五千円弱。安全は確保されているけれど、ちゃんと利益が出る構造になっているのかな。

利用しておいて、言えた義理はないけれど。

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 神戸に向かう前に、午前中の空き時間に四天王寺へ。

学生の列に交じって、まだ朝のお掃除中の境内へ。

 阿倍野ハルカスを境内から眺めて、ゆっくりとお散歩。

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 境内の池では、大勢のカメさんたちが甲羅干し。気持ちよさげな光景を目を細める。

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 境内の在り様を、あちこち見ながら歩く、建築中年約一名。

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 ゆったりとした朝時間に、日本の建築の良さをこれまたゆっくり愛でるのは幸せです。

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 静謐な境内をお日様にあたりながら三周ぐらいして、阿倍野ハルカスまで歩く。

朝の通勤、通学ラッシュにしても、街中の自転車通勤の人々にしても、東京のように

殺伐とはしておらず、譲り合ったり余裕があるように思える大阪。

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 地下鉄から中央線に乗り換えて天保山、大阪の海を眺めに。

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 随分前に出来た安藤建築を懐かしく見上げながら海べりへ。

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 海上保安庁の船が幾隻も出航してゆく。すこし冷たい風が吹いています。

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 東京と比べると人が少ない。よって、余裕があるように思えて、街並みもそう見える。

働く人も、すこしのんびりとしているような気がする日。

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 安藤建築の巨大さも、関西ならでは。そんな気もします。

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 人も風景も大阪そのもの。大阪の、色やね。

旅の序奏

 さわやかな皐月晴れ。静かな境内はGWの喧騒が幻のように思えます。

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 GW明け、打ち合わせついで?を口実に大阪・神戸・京都の三都物語に行ってきます。

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 大阪の海を見てみたい。悲しい色屋根?

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 唄のメロディがリフレインするのを味わうように、旅は行こうと思った、その時から

すでに旅が始まっています。音楽の序奏のように、気持は助走を始めますね。

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 散歩が減ってしょぼんとするかな?しばし、待て。いい旅のお土産を持って帰るから。

ほな、行ってきま。

秋旅の虫

 今年も残すところ二ヶ月をきり、置き去りにしてきた旅の虫が騒ぎ出す今日この頃です。

目まぐるしく変わる秋の空模様、あの街この町の風景、今頃はどんな風かと思いを馳せる。

 なにかと余裕を持てない昨今、小さな秋旅でもしてみたいものです。

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 沈みゆくヴェニスを歩いたのは、ちょうど今頃。冷たい雨が降っていました。

ただでさえ退廃的に感じられる街並みですが、美味しいレストランを見つけたおかげで

とてもいい印象があります。

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 旅先では、雨降りもまた印象に残るものです。

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 朝靄の中、乳白色の海をゴンドラで滑りながら、帰途に着いたのもいい思い出。

今日は、どんな風が吹いているのかな。

遠い港町の面影

 石巻は、水産加工のとても盛んな港町でした。過去形で語ることになったけれども。

先日の同窓会、名取市の友人が、再開された笹かまぼこを持ってきてくれました。

今まで食べてたよりも、とても美味しかったのは、思い入れがあったからかもしれません。

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 石巻の港へ向かう途中、大きな交差点にあるはずのない漁船が打ち捨てられたまま。

港の施設もがらんどうになったまま、の寂しい景色が続きます。

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 震災から半年が過ぎて、ようやくがれきが集められて、これからが大変でした。

運ぶ車両も人も、足りないそうです。

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 地盤沈下で面影が無くなった堤防、かすかに線になって残ります。

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皮肉にも、沈んで蒼さが増した海と、青空だけ見ているといい景色にしか見えないけど。

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 唐突に、横倒しになった魚油のタンク。高さ11メートル近いこのタンクは、ここから

数百メートル先の水産加工工場から流されてきたのです。

この大きさが、あの日の、津波の流れを物語っていました。あまりに巨大で、

処理する術がないかのようです。

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 水揚げのおよそ八割が、様々なかたちで加工され、わたしたちの食卓にも上っていた

東北の海産物。まだ、しばらく水揚げしても、加工する場所、人、機械がありません。

 日本の海の恵み、そのありがたみを、今回の震災は、感じさせることにもなりました。

当事者の方々の、働けない辛さ。何事もなかった我々には、思い測ることも出来ず、

忘れないようにすることだけです。   

人気のない風景

 宮城を訪ねてから、もう二月近くが経ちました。原発の話題は出ていますが、被災地の

現状に対する報道やレポートは、すっかり影をひそめてしまいました。

 忘れないように、先日報告会をしましたが、自分で一件落着させないように、

これからもすこしずつ、まとめていこうと思います。

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 地震当日の報道で、荒浜(あらはま)、閑上(ゆりあげ)地区と幾度となく取り上げられて

いた場所は、仙台東道路によって、被災の度合いが違った土地でもあります。

 堤防のような道路より、海側はまったく人気のない風景が広がっています。

コンビニの廻りには雑草が生え、もう何年もゴーストタウンだったかのように。

打ち捨てられた、がらんどうな風景が続いています。

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 地盤が海へと地すべりして、海と川の境目が曖昧になってしまった海岸線。

川の右側が、仙台空港の方向、左側が仙台市の方向です。

 まばらな潅木の景色は、以前は鬱蒼と続く松林だったそうですが、津波が押し流し、

その厖大な木々が流木となって、住宅街へと流れていきました。

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 海浜公園だった場所も、面影はなく、サバンナのような風景。

生き物のいない場所になっていますが、この反対側を見ればここが、住宅街だった

様子がわかると思います。草が伸びるにまかせ、放置された場所が続くまち。

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 家並みは、まだ残っていますが、一階部分は柱を残して、ほぼがらんどう。

二階だけで暮らすには、日常の食材や生活用品を手に入れる場所から遠く、

人気がないわけがわかりました。

 この場所から石巻まで、延々と続く平らな海岸線を、何度も打ち寄せた津波。

広大な、ただ広がる景色。人のいない風景は寂寥そのものでした。

 無論、南へ下れば福島、茨城、千葉まで、あまりに長い距離を、体感することは

出来ず、想像すら思い浮かべられない。せめて、忘れず、この日みた風景を風化

させないように、しないといけません。思い出すことです。

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