環境の面から、よく言われる3R「リユース、リデュース、リサイクル」のうち、設計屋が貢献
出来る分野は、リデュースとリユースです。もちろん、随分以前から、コンクリートの下に
敷く石には、コンクリートガラから作られる、再生砕石(さいせき・くだいた石)を使って
リサイクルはしておりました。ただ、リサイクルというのは、廻すだけなので、すでにある
ものをそこに置くだけで、環境への負荷は変わりません。そこで、使う材料を抑制する
リデュースと、そこで使われていた材料を、そこでまた使うリユースを考えます。
リサイクルには、廻す手間、運ぶ手間がかかり、運ぶには化石燃料がかかります。
昔から、家を建てる現場の、掘った土を壁に塗る、リユースを日本人はしていました。
その式でいくと、建て替えの時、すでにその古い家の屋根材としてあった、瓦と銅板を
その場に外して取って置き、また使うのは、当然の成り行きではありました。
あらかじめ、使う材料を少なくするリデュースは、設計屋の当然の義務なので置いておき
リユースの光景をお見せしましょう。
昔から、耐久性のある屋根といえば、瓦と銅板です。長持ちが前提のお寺の屋根に
どちらも使われていることからもわかる、日本の雨の多い気候に合った材料です。
その瓦と銅板を、解体前に丁寧に外して、とって置きます。このとき、とって置く場所が
ないとどこかへ運び出さなければなりません。が、幸いこの現場は敷地に余裕があって
下から上への移動だけですみました。
外した銅板は、また丁寧に折り曲げて屋根に葺きます。まだ、材料が高く職人さん方の
手間賃が安かったころは、当たり前の光景だったはずですが、材料が大量生産され、
人件費が高くなった現代では、屋根屋さんの親方から、新しい材料で始めっからやった
ほうが、楽だし綺麗だし早いし、と至極まっとうな返事が返ってきました。
瓦も焼きもので、工場製品といっても、大きさにばらつきがあり、古いものと新しいもの
の風合いも違います。以前に使われていた瓦に、広くなった屋根に新しい瓦を足して葺く。
職人さんが、瓦一枚ごと、按配を見ながら新旧混合で葺かれた屋根。以前から
あったかのように、出来上がりました。↓屋根の棟の黒い部分は、屋根裏の熱を逃がす
蜂の巣状の換気口です。もちろん、空気は出ていきますが、雨水は入らない優れもの。
古いものに新しいものを加えるには、材料だけではなく、現代の新しい技術を加えること。
時代が求める、環境の流れを、一歩ずつ実践する、設計屋の仕事です。
たった一軒の家で、材料をまた使ったからといって、環境に良いことをしたとは
とても思いませんし、言えることでもないけれど、やってみて、声高に3Rを叫ぶには
大きな社会全体で、細かく廻る循環の輪が、足りないのが、今現在です。
千里の道も一歩から。まず、やってみ。
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